「在庫には税金がかかるんでしょ?」←これは真実?
よく聞かれます。
毎回、「在庫に対して直接税金がかかることはないんですよ。結果として税金負担が増えることが多いですけどね」と返していますが腑に落ちない顔をされることが多いです。
「在庫に税金がかかる」というのは本当でもあり嘘でもあります。
こういう質問をする方は在庫に対して何パーセントといった形で税金がかかってくると考えている方が大半です。
「在庫税」、そのような税金はありません。
但し間接的には法人税という形で税負担が増えることにつながるので、「在庫に対して税金がかかっている」と言えなくもないんです。
ではどのような形で在庫に税金がかかっているんでしょうか?
先に答えを言いますと、「在庫増=利益増=法人税負担増」とつながっています。
どういうことでしょうか?
それを考えていくためには、①在庫と売上原価との関係や、②売上原価と利益の関係、③利益と法人税との関係、について把握しておく必要があります。
①在庫と売上原価の関係
売上原価をざっくり言うと「商品仕入や製造原価」になります。
ただし、その説明は正確ではありません。正確な売上原価を算出するためには期首在庫・期末在庫を加味しなくてはなりません。
正確には「売上原価=期首在庫+当期仕入-期末在庫」となります。
在庫が増えるという事は売上原価が減ることにつながります。
例えば、
期首在庫 100
当期仕入 300
期末在庫 150
のときの売上原価は100+300-150=250となります。
それでは、在庫が増えて期末在庫が200になると売上原価はどう変化するでしょうか。
期首在庫 100
当期仕入 300
期末在庫 200
この時の売上原価は100+300-200=200と減少します。
売上原価は費用ですから、費用が減少したという事になりますね。
②売上原価と利益の関係
売上原価という費用が減少するので、当然利益は増えることになります。
売上原価が250から200に減少したので、当然税引前利益は50増加します。
③利益と法人税との関係
法人税は利益に対して課税されます(正確には利益ではなく課税所得に対して課税されますが、ここでは話を単純にするために利益に課税されたとみなします)。
現在日本の法人税実効税率は約30%ですので、利益が50増加したという事は、法人税は50×30%=15増えるという事になります。
実際にはこの例のように単純に・直線的に税金が増えていくわけではありませんがおおむね傾向としては在庫増=税金増となってきます。
ゆえに、「在庫には税金がかかる」というのは一面の真実を表しているわけです。
税金を抑えるためにも極力余剰在庫は持たないようにしましょうね!